オールドローズ Old Roseとは?
オールドローズとは、ラフランス(Jean Baptiste Guillot fils, 1867)以前に作出されたバラのことです。しかしラフランス以降に作出されたバラもオールドローズと呼ぶことがあるようです。
オールドローズは現代バラのように強く剪定せず野性味を鑑賞します。強剪定してコンパクトに仕立てることも可能です。
オールドローズの代表的な系統
オールドローズは世界中の様々な場所に生えている(た)原種のバラと、それらを交配して作出した1867年以前のバラのことです。ガリカ(Gallicas)、アルバ(Albas)、ダマスク(Damasks)、ダマスクパーペチュアル(Damask Perpetuals)、ケンティフォリア(Centifolias、センティフォリア)そしてモス(Mosses)の系統、そしてノワゼット、ブルボン、ポートランド・ローズがあります。ここではオールドローズのバラの系譜の一部分をご紹介いたします。
ガリカ・ローズ(Rosa Gallica、ロサ・ガリカ)とは?
オールドローズのガリカとは、正確な歴史は不明ですが、古くからヨーロッパや東トルコの庭、ギリシャやローマの庭園で栽培されてきたバラです。ガリカのバラの花は一重または二重のものや八重咲きの品種があります。代表的なガリカのバラの品種に【ロサ・ムンディ】や【ベル・イシス】や【デュセス・ドゥ・モンテベロ】(モンテベロ侯爵夫人という意味)があります。
アルバ・ローズ(Rosa Alba、ロサ・アルバ)とは?
ロサ・アルバとは、中世ヨーロッパの貴族の庭園にルーツがあると考えられています。多くは健康的な半つる性(シュラブ)です。代表的な品種に【アルバ・セミプレナ】や【ベル・アムール】があります。
ダマスク・ローズ(Rosa Damascena、ロサ・ダマスケナ)とは?
単にダマスク、あるいはロサガリカとロサモスカータの交配種でCastileのバラと知られているバラのことです。DNA解析によると、Rosa Fedtschenkoanaの遺伝子も含まれているそうです。ダマスクローズは食品の風味づけやエッセンシャルオイルとして使われます。ペルシャのダマスカスやシリアなどの主要都市からヨーロッパに運ぶ際に信用を与えるために1254年から1276年の間に地名を付けたとCrusader Robert de Brieは述べています。ダマスクローズは何世紀にもわたり美しさと愛の象徴とされてきました。ダマスクローズには二つのグループがあります。サマーダマスクとオータムダマスクです。ダマスクローズの代表的な品種は【イスパハン】や【レダ】【ローズ・ドゥ・メイ】が有名です。ダマスクローズは一季咲きです。
ダマスク・パーペチュアル・ローズ(Damask Perpetuals)とは?
またの名をハイブリッドパーペチュアルローズ(Hybrid Perpetual Roses)といいます。ダマスクパーペチュアルローズは繰り返し咲きの特徴があります。ダマスクパーペチュアルローズの起源は19世紀からです。主な品種は【ローズ・デュ・ロワ】(1812, 別名リーズクリムゾンパーペチュアル、クリムゾンパーペチュアル)です。その後、ハイブリッド・ティー・ローズへと流行は遷り変わります。
ロサ・ケンティフォリア、センチフォリア(Rosa Centifolia)とは?
ケンティフォリアは多くの種が失われたと言われています。樹高1.2m~1.5mほどの緑豊かなバラです。【シャポー・ド・ナポレオン】(日本ではモスに分類)が有名です。ほかには【アラン・ブランシャール(アラン・ブランチャード)】があります。
モス(Moss Roses)とは?ケンティフォリアモス(Centifolia Moss)
モス・ローズとは苔のような粘着性の樹脂腺がたくさんあるバラです。【アンリ・マルタン】【サレット】【オレンジ・モス】【アルフレッド・ドゥ・ダルマス(ムスリーヌ)】などがあります。
ノワゼット(Noisettes)ローズとは?
1800年、サウスカロライナのチャールストンのJohn Champneysはロサ・モスカータ(R. moschataと)ピンクの中国バラを交配させ`Champneys' Pink Cluster'が生まれました。これがフランスのパリでブラッシュ・ノワゼット(Blush Noisette)として人気を博しフランスの育種家により10年以内に百品種以上のノワゼットが作出されました。【ブラッシュ・ノワゼット】【セリーヌ・フォレスティエ】など。
ブルボン・ローズ(Bourbon Roses)とは?
ブルボンのバラは中国バラのパーソンズ・ピンク(Parsons' Pink)と赤いトゥレモア(Tous-les-Mois)というダマスク・パーペチュアルとの交配で誕生しレユニオン島のイル・ブルボンにちなんで名づけられました。この植物の種子と挿し木は1819年と1812年にフランスのパリに現れました。それから十年後、失敗を重ね1830年代によいブルボンローズが登場しました。緑豊かで返り咲きの傾向が強いバラです。【オノリーヌ・ドゥ・ブラバン】【クープ デペ】【ルイーズ・オディエ】【ブルボン・クイーン】【ブール・ドゥ・ネージュ】などがあります。
チャイナ・ローズ(China Roses)とは?
1790年頃に欧米で取引されるようになった中国由来のバラですぐさま特にフランスで急速に人気を博しました。【エルモサ】【オールド・ブラッシュ】【グリーンローズ】【ムタビリス】などがあります。
ポリアンサ・ローズ(Polyantha Roses)とは?
ポリアンサ・ローズとは、多花種との交配された花の多い多花性のバラのことです。1869年、フランスの栽培家ギヨー・フィルスは多花性のノイバラと1862年に日本から輸入した原種を交配させたところ、多様な苗を得、1875年に最初のポリアンサ・ローズPaqueretteを作出ました。その時ギヨー・フィルスは"I didn't have so many as two which resembled their mother!"と言ったそうです。リヨンでRambauxもまた同様にポリアンサ・ローズを作りました。
(ポリアンサ・ローズは最初に定義したオールド・ローズにはあてはまりませんが、過去の品種はオールド・ローズとされるようです。)
(ポリアンサ・ローズは最初に定義したオールド・ローズにはあてはまりませんが、過去の品種はオールド・ローズとされるようです。)
ブルソー・ローズ(Boursault Roses)とは?
ブルソー(またはブルソール)・ローズはscandent、よじ登るクライミングの性質のあるバラです。ナポレオンの時代に中国のバラとロサ・ペンデュリナ(別名Alpine Rose, アルペン・ローズ)が交配されたともいわれています。【モーレッティ】(Morletii)、【アマディス】(Amadis)、【カリプソ】(Calypso)、【マダム・サンシー・ドゥ・パラベル】(Madame Sancy de Parabère)など。
ケンティフォリア・ポンポンズ(ポムポンズ)・ローズ(Centifolia Pompons Roses)とは?
花びらが小さく小型の矮性のバラ。【ローズ・ドゥ・モー】(De Meaux)、【ロオジエ・デ・ダーム】(Rosier des Dames)、【スポングズ】(Spong's)【リトル・ジェム】(Little Gem)。
アガサ・ローズ(Agathe Roses)とは?
アガサ・ローズはおそらくダマスク・ローズと原種のバラの強い影響を受けたハイブリッド種といわれています。中輪の花にタイトなローズヒップ、コンパクトで緑豊かな樹姿をしています。【ファティマ】(Fatime)、【マリー・ルイーズ】(Marie-Louise)、【マジェステュース】(Majestueuse)、【ブーケ・ローズ・ドゥ・ヴィーナス】( Bouquet Rose de Vénus)、【ヴィクトリン・ラ・クロンヌ】(Victorine la Couronnée)。
ルゴサ・ローズ(Rugosa Roses)とは?
ルゴサのバラとは日本バラの原種、ロサ・ルゴサ(ハマナシ)との交配種です。1820年ごろには交配がはじまり1870年代にいくつかのハイブリッド種が世の中に出ました。耐寒性があり強健であるというハマナシの特性が受け継がれ150cmから180cmの樹高に達します。【ロズレ・ドゥ・レイ】(Roseraie de l'Haÿ')、【ブラン・ドゥブル・ドゥ・クベール】(Blanc Double de Coubert)、【フィンブリアータ】 (Fimbriata)、【マダム】(Mme)。
この紙面で紹介しきれなかったオールドローズの系統
Mossy Rmontants、Pernetiana Roses、Old Hybrid Tea Roses(オールド・ハイブリッド・ティー)、ハイブリッド・パーペチュアル・ローズ、マルチフローラ・ローズ、Wichuraiana Rosesなど。